戦後から始まる食品包装の歴史
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日本における食品包装の歴史
日本における食品包装の歴史は第二次世界大戦後、日本でも食料が安定的に供給され、栄養状態の改善が見られた時期に始まります。
既に欧米では食品の乾燥技術、殺菌、包装の材料などが開発されており、日本でも実用化されていきました。
その中で注目を集めたのが魚肉ハム、魚肉ソーセージです。
当時行われていた水爆実験の影響でマグロの値段が大きく下落し、大量に在庫を抱える状況になったことで、それを活用するために魚肉ソーセージの開発が各社で行われました。
当時の魚肉ソーセージは塩酸ゴムのケーシング、包装がなされて発売されており、この時から食品包装の歴史が始まったと言われています。
その後、インスタントラーメンの登場や粉末ジュース、調味料などが世に出てきて、ポリセロと呼ばれる当時の包材によって包まれ、販売されていました。
アルミ箔中心の1970年代
1970年代までは単に包めばそれでいいという程度だったものが、食の安全や公害問題に対する安全性の高まりなどがあり、食品の包装に関しても注目が集まるようになりました。
特に当時のスナック菓子に関しても厳しい視線が向けられることになります。
スナック菓子はパリパリとした触感を残すため、湿気を吸い取らないようにすること、そして、油分の劣化を防ぐことが求められます。
しかし、光が当たり、光線によって油分が劣化するという問題が当時はありました。
また、アルミ箔中心のものだと今度はピンホール状の穴が出来てしまい、そこから湿気が入り込むという問題もありました。
これを同時に解決したのがアルミ蒸着フィルムというものであり、今のようなスタイルが1980年代後半に生まれました。
引用元:朋和産業 評判
現在の食品包装
現在の日本ではレトルト食品なしでは生活できないと言われているほど浸透し、非常食などにも応用されています。
その草分け的存在がレトルトカレーでした。
1968年世界で初めて発売され、当時は透明な袋にカレーが入れられており、今とは全く違うものでした。
そのため、商品の劣化が早く、夏場は2か月、冬場は3か月しか持たない代物でした。
今のようなスタイルになったのは1969年、遮光性を重視したアルミ箔を主体としたものが登場し、これが爆発的に売れ、レトルト食品が一気に広まることになったのです。
この時の開発は困難を極め、まずレトルトの技術はもちろん、材料もないというところから始まりました。
その後、1968年の発売、遮光性、耐熱性を兼ねたものを作り出し、今では電子レンジでも温められるものも登場するなど進化を続けています。
容器の重要性
包装を考える上で容器にも注目しなければなりません。
今では当たり前のように利用しているペットボトルですが、その歴史は50年程度と浅く、アメリカで炭酸飲料の容器を開発する際に作られました。
日本では1977年、しょうゆを販売する際に用いられたのが最初となっており、清涼飲料水として使用が認められたのが1982年でした。
当時のペットボトルは底が球面のような形になっており、自立させるのが不可能な状態であり、スタンドになるものの中に入れて自立させるというのが特徴です。
若者や女性向けの新たな層に向けた販促活動が展開されていき、ゴミの問題などから、ペットボトルが自立するような形になるよう、容器の開発が行われました。
その後、ペットボトルの容器は劇的な進化を遂げ、力をかけずに圧縮できるものなども出てくるようになりました。
ペットボトルのビールも近年登場が期待されていますが、強い反対もあり、日本ではまだ実現がしていませんが、諸外国ではすでに出ており、今後の実現が注目されるところです。
劣化問題とその対策
レトルト製品にとって大敵となるのは酸化による劣化と言われています。
最初のうちは高品質であったとしても時間が経過するごとに質が落ちていくというのが最初にレトルト製品が登場した時の問題とされました。
外からの酸化に強くしても封入する際の酸素の混入は避けられず、それによる酸化をいかに防ぐかが大きな課題だった時期があります。
この時に注目されたのが包材自体が中の酸素を吸収するというものでした。
鉄の粉を細かくし、それをフィルムの中に入れ、鉄粉を酸化させるというものでしたが、鉄粉は細かくしすぎると自然発火し、フィルムに入れる前に湿気を吸い、いざ加熱する際にその湿気により水蒸気となり、トラブルになるなど様々な問題を抱えましたが、何とかクリアし、品質の向上につなげることになりました。
おかゆ製品などで広く使われています。
こうしたことからもわかるように、ただ包めばいいという時代はだいぶ昔に過ぎ去り、今ではいかに品質を上げながら、安全対策を施すか、そして、利用しやすい形にしていくかというものが問われています。
最近ではラップにかけることなく、そのまま電子レンジにかけても大丈夫な商品が数多く販売されており、こうしたものが開発される背景には、包材の開発、容器の見直しなどの歴史があります。
最終更新日 2025年7月8日 by iafpe